ドイツの鉄道信号〕主信号と遠方信号

ドイツにおいても信号は安全な鉄道輸送の重要な要素のひとつです。列車の運行に関する主な信号として Hauptsignale(Hp、主信号)と Vorsignale(Vr、遠方信号)があります。ドイツでは複数の信号システムが使われていますが、この H/V 信号システムが古くから使われている最も基本的な信号となります。

主信号

Hauptsignale(主信号)には次の 3 種類があります。

  • Hp 0(Halt、止まれ)— この信号を越えてはいけません。列車のみならず入換車両にも適用されます。
  • Hp 1(Fahrt、進め)— 列車はこの信号の先に進むことができます。
  • Hp 2(Langsamfahrt、緩やかに進め)— 列車はこの信号の先に進むことができますが、40 km/h を越えてはいけません。この速度制限は信号の先にある分岐器の制限を示しています。

Hp 0(赤)は「この先の閉塞に車両がいる」ことを表しており、同様に Hp 1(緑)と Hp 2(緑黄)は「この先の閉塞に車両がいない」ことを表しているといえます。二位式であるため、日本の信号のように 2 閉塞先の状況により現示が変わることはありません。

遠方信号

Vorsignale(遠方信号)は主信号の手前にあり、主信号の現示を予告します。遠方信号も 3 種類あり、それぞれ主信号と対になっています。

  • Vr 0(Halt erwarten)— この先に Hp 0(止まれ)があることを予告しています。
  • Vr 1(Fahrt erwarten)— この先に Hp 1(進め)があることを予告しています。
  • Vr 2(Langsamfahrt erwarten)— この先に Hp 2(緩やかに進め)があることを予告しています。

遠方信号それ自体には速度制限はありません(PZB などの信号保安システムにより速度制限を受けます)。

主信号もそうですが、色灯式の灯火の配置は腕木式のもと同じになっています。

主信号と遠方信号の関係

一般的には主信号の 1,000 m 手前に遠方信号が現示されます。Vr 0(黄黄)が現示されている場合、列車はブレーキをかけて主信号の手前で止らなければなりません。最高速度からブレーキをかけて十分に止まれる距離が 1,000 m 以内になるように列車の最高速度が定められています。